文科省「不正検定」を正す会
こちらの文書は、
文科省が各所に配っていたものです。
「新しい歴史教科書をつくる会」
の主張に対する文部科学省の見解
令和2年3月
1.不合格ありきの恣意的な検定が教科書調査官により行われたとの主張について
つくる会の主張
〇初めから落とす意図をもって強引に欠陥箇所を絞り出し、水増しする不正行為が行われた
〇「生徒が理解し難い表現である」「生徒が誤解するおそれのある表現である」といった、教科書調査官の主観的な趣味や思い込み、価値観が入り込みやすい検定基準による指摘が292件で、全体の72%を占めている
〇特定の出版社の教科書を差別し攻撃することは、教科書調査官による職権乱用である
文部科学省の見解
①教科書検定は、 教科用図書検定基準等に基づき、教科用図書検定調査審議会の学術的・専門的な審議により行われるものであり、行政的・政治的な意図の入り込む余地はないもの
②審議会においては、それぞれの分野の専門家や学校現場の経験のある教員など複数の委員の視点による厳正な審査。
本書についても複数回にわたる会議で一つ一つ審議した結果として405か所の欠陥が指摘されたもの
③教科書調査官は、法令に基づき、審議に必要な資料として調査意見書を作成するが、審議会の決定には参画しない
④調査意見書の作成に当たり、専門性が多岐に及ぶ教科においては、複数の調査宜が調査を実施
2.前回合格した記述や、他社の教科書では認められている記述が欠陥とされたとの主張について
つくる会の主張
<前回合格した記述>
〇前回の検定を通っているにもかかわらず、 申請本と同じ記述を「欠陥箇所」としている
<他社の教科書>
〇他社の教科書では合格とされる記述を、自由社なるが故に「欠陥箇所」とする差別的な扱い
文部科学省の見解
<前回合格した記述>
〇以前の検定で合格した記述であっても、学習指導要領の改訂、学説状況の変化や前後の文脈や構成の変更などによっては欠陥として指摘することはありうる
〇ちなみに、今回の欠陥箇所のうち、40箇所程度は前回欠陥箇所として指摘した部分の当初申請と同じ記述(現行本では適切な記述となっているもの)
<他社の教科書>
〇自由社が反論で挙げている他社の記述とは文脈等が異なる
〇審議は申請者名を明かさずに行っており、全く同じ記述について、特定の教科書についてのみ欠陥を指摘することは考えにくい
3.新元号が入る予定の「■■」まで欠陥箇所に入れることが不当であるとの主張について
つくる会の主張
〇新元号令和の政府による発表時期が予定より遅れたため、検定申請図書の印刷が間に合わず記号を仮に入れたケースについてまで、それを欠陥箇所に参入している
文部科学省の見解
〇教科書において、「■■」との記述ではそれが何を表しているか意味が分からず、仮に欠陥として指摘しない場合、この「■■」という表示がそのまま教科書に記述されてしまうことから、欠陥として指摘したもの
〇なお、新元号については検定合格後に訂正申請を行い、新元号を追記することや、平成から変更することが可能
4.教科書検定制度の抜本的な見直しと改善が必要との主張につい
つくる会の主張
〇教科書検定制度の抜本的な見直しと改善が必要
〇検定意見自体を、強制力のある「修正意見」と、単なるアドバイスとしての「改善意見」(採否は出版社に委ねられる)とに分けるかつての区分を復活し、不合格措置は、修正意見のみを基準にするよう制度を変更すべき
文部科学省の見解
〇教科書検定制度については、必要に応じた見直しを図ってきている
〇現行制度上の検定意見は、それを踏まえた修正がなされなければ合格しないものであり、昭和63年度までの修正意見に相当するもの
5.翌年度再申請の制度の趣旨について
平成26年度検定申請のあった2者の欠陥箇所数が著しく多く、年度内に再申請から検定決定まで行う上で十分な時間的余裕がなかった点が審議会において課題とされた。
このことの反省を踏まえ、児童生徒により適切な教科書を提供するため、「欠陥箇所が著しく多いもの」については、図書の修正に十分な時間的余裕と審議会での審議に十分必要な時間を確保する観点から、年度内再申請を認めず翌年度に再申請を可能とする制度改正を平成27年度に実施
6.検定中の申請図書等の適切な情報管理について
今回、検定結果公表前の段階で著者らによる記者会見が行われ、自由社は、教科用図書検定規則実施細則第5(3)申請図書等の適切な情報管理にある、検定中の申請図書等の適切な情報管理に係る規定に違反。文部科学省としては、自由社に指導するとともに、こうした事案の再発防止のための対策を検討